遺産相続があったとか特殊な事情をのぞいて、住宅を購入しようとする方は大抵住宅ローンを利用されます。
住宅ローンは、貸す側の銀行にとっても大きな案件であり、かつ貸出リスクが非常に小さいことから、大きな収益源となっています。借りる方にとっても、他の融資と比べて非常に借りやすいジャンルの融資です。
かなりの小額融資を除いて、銀行からまとまった金額を借りようとすれば、銀行による審査が必要です。もちろん住宅ローンも例外ではありません。その際重要となるのが、金融機関による評価基準です。
実は事業会社が融資を受けようとする場合、銀行の判断となる評価基準は銀行により大きく違いますが、住宅ローンの場合、あまり違いはありません。
もちろん全く同じというわけではなく、融資が通りやすい銀行通りにくい銀行はあります。一般的に、ネット銀行の場合、金利は低いが通りにくい、信金は金利はやや高めだが通りやすいという傾向はあります。
銀行は、預金者からお金を借り入れて(預金のことですね)、お金が必要な人に貸し出すため、回収が難しい人へは貸しにくいわけです。
よって、回収が難しいと思われる方、例えば収入に余裕のない方や既存借入がある方は要注意です。今回は住宅ローン審査における既存借入の影響についてご説明いたします。
既存借入があると借入可能金額が大幅ダウン
一般のサラリーマンの方が住宅ローンの融資を申し込むと、審査はその方の収入に基いて計算されます。夫婦共働きの場合、両者の収入を合算して計算されます。
ところが、既に別の借入があると、借入可能金額が大幅にダウンして評価されてしまいます。
例えば年収600万円の方が車のローンで毎月3万円返済している場合、実効金利1.61%※で計算すると、既存借入がなければ最大5,616万円まで借入可能なのが、月々3万円のローン返済を考慮すると、借入可能額は4,653万円まで下がってしまうのです。
なんと963万円のダウンです。
借入可能額4600万円は既存借入のない年収500万円の場合の金額なので、たかだか月3万円といえども年収が100万円ダウンするくらいの影響となってしまうのです。奥様のパート分の収入の上乗せ額程度が、一気に帳消しとなってしまいます。
また、ショッピングの分割払いも要注意です。上記の例で、月々3万円の車のローンのほかに、12万円のパソコンを3回の分割払いをしているとします。この時計算に考慮される既存借入額は、36万円+10万円ではなく、36万円+48万円(4万円×12ヶ月)として計算されてしまいます。あくまで月々の返済額の12ヶ月分という取り扱いになります。
携帯電話の分割購入も
スマートフォンの購入も現金一括で購入されない場合、銀行はローンがあると判断する場合が大半です。
機種代を契約時に一括で支払わない場合は、割賦販売になりますから、機種代も既存借入に算入しなければなりません。
たかだか月々2000円~3000円ですが、これだけでも借入可能金額が100万円近く変わってしまうのです。
自動車やスマホを買うなら、ローンを組んだ後で
銀行や信販会社は、個人の借入金の状況(どこから誰がいくら借りているか、返済状況はどうか)を共有するシステムを持っています。
隠したりごまかしたりできませんので、この際、整理しておくことをお勧めします。
逆に、きちんと完済できていれば、個人の信用度が上がりますので、(多少)有利になるでしょう。
また、自動車ローンやスマホ割賦購入の場合、信販会社を利用する場合が多いと思いますが、信販会社の場合、住宅ローンの有無で断ることはほとんどありません。(断られた場合、住宅ローンの支払いが滞っている等別の理由があります)
なので、順番としては、まず既存借り入れの整理、住宅ローン、自動車・スマホの購入が、妥当だと考えられます。